大学同級生と夜の会話

moon

昨夜は、10時半に大学陸上部の同期Y(♂)から、電話があった。
「××におるねん」
「へー。でもわたし、外出られへんよ」
「そうかー」

××はわたしの家から近いので、飲み直すために呼んだのかな。
しかし、もうわたしは昔みたいにフットワークが軽くないので、ぱっと用意して飛んでいくことはできない。

「調子どう? 元気そうやな」
「うーん、身体はいいけど・・・、最近、ミサイル飛んできたらどうしようとか考えて、吐き気してる」
「ミサイル??! なにそれ」
「あと、日本人が絶滅するのが怖くて、どうしようとか」
「えー? どしたん」

Yが、何言ってんだ大丈夫か、という反応を見せたので、わたしは急いで「病気、病気!」と言い直した。
「春はいっつも悪いねん」←本当。
「そうかー。いつ頃になったら治んの?」
「去年は5月半ばやったなあ」
「ふーん。また飲みに行こう」

Yはわたしにとって、社会とわたしを繋ぐ貴重な人物で、話も興味深いので、断る理由はない。
むしろわたしは、障害者じゃなく、こういうふつうの人と繋がりたいのだ。
彼の感覚では、ミサイルとか日本人絶滅とかは、「なにそれ?」の話なんだな。
やっぱりわたしは、部屋のなかでネットしか見ていないから、世の中と考えがかなりズレているのだ。

わたしが、「だーれも周りにいなくて、一人で、なんにもすることがない」と言ったら、Yは「絵を描いたら? 美的センスあるやん」と言った。
「えー。でもあれ、習わんとあかんやろ?」
「絵を描くのに、基本なんかないで! 自分の思うように描けばええねん」
Yは、ふだんはボケーっとしたしゃべり方をするのだが、ここだけは声色が変わって真剣だった。
こういう、考えのメリハリがわたしにはないんだな。
長い療養生活のなかで、わたしは、平坦で二次元的で深みのない人間になってしまったのだ。

結局、少し酔っ払いのYに、わたしは「早くラーメン食べに行って、寝たら」と言って電話を切った。
世の中が、わたしの知らないところで動いている。
たまに、それに触れさせてもらえるだけで、ほかの精神障害者より、わたしはラッキーかもしれないな。

プロフィール

由巳ゆみ.

Author:由巳ゆみ.

2000年うつ病と診断される。
2010年躁うつ病と診断される。
現在は精神障害者として一人闘病生活を送っている。
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