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最期の抵抗

kowareru

いよいよ、父の容態が悪い。
そのことを、父自身も知っていて、死の恐怖に怯えているようだ。
麻薬でうつらうつらしているが、しきりに「おかあさん、おかあさん」と母を呼ぶ。
ベッドの端をずっと握りしめているのを見ると、世界が壊れて、足元が崩れるのが怖いんじゃないかな。

わたしは、人の死に立ち会ったことはないが、それはどこかに書いてあったように、美しいものではなかった。
ヒトには死にたくないという本能がある。
それが自分の手に負えなくなって、まさに目の前で銃を突きつけられた状態になったとき、人はパニックになって取り乱すのだろう。
父も例外じゃない。
麻薬は心地よい夢を見させてもらうものではなく、目が覚めるごとに死の恐怖を味わうもののようで、意識が戻るたびに、唸り声を上げていた。
楽な死に方なんて、どこにもないんだな・・・。

しかしともかく、生きているわたしと母は生身なので、「交代で休憩しないともたない」と話し合って、昼はわたし、夜は母の担当でいこうということになった。
わたしの風邪は相変わらずで、ひどい咳のあまり、全身疲労感に悩まされている。
つくづく、在宅看護なんかするもんじゃない・・・。
お互い、最後の別れに苦しむことになると思う。

今朝、看護師さんが来たとき、父はまったく話せなくなっていた。
看護師さんの呼びかけに、小さくなにかを発音するだけだ。
でも、あたまではちゃんとわかっているらしい。
この状態は、ほんとうに辛いだろうな。
こちらにできることは、本人の気持ちを察してあげることくらいだ。

それにしても、わたしはこの数日間、看護でヘトヘトになり、食欲もなくなって、看護人としては失格となってしまった。
お葬式なんか、出られるのかって感じ。
つくづく、人の死を看取るということは、簡単ではないと思う。
由巳ゆみ.
Posted by由巳ゆみ.